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ヴィト・アコンチ講演会

2013年09月15日号

会期:2013/08/03

市原湖畔美術館[千葉県]

屋上広場にインスタレーションを設置しているアコンチの記念講演会。アコンチといえばかつてギャラリーでオナニーパフォーマンスをしたり、最近では福島原発の「指差し作業員」の元ネタとしてその名が出るなど、過激なアーティストとして知られるが、講演ではいきなり「自分のやってることはアートだと思ってない。建築だと思ってる」といってのけ、スライドを使って彼のいう「建築作品」を紹介していった。たしかに風力発電で地面を円形に回転させたり、メビウスの輪を応用したベンチを開発したり、トリッキーなアイディアが多いけど、けっこうしっかり設計して実現させている。一方で、ニューヨークのWTCの跡地に「どうせ破壊されるなら、あらかじめ破壊されたビルを建てる」というコンセプトのもと、内も外もない穴だらけの超高層建築を提案して落とされたりもしている。老いてなお過激さを失わないばかりか、ますます増長させてる点は見倣いたい。

2013/08/03(土)(村田真)

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