artscapeレビュー

フランシス真悟「Across the Line : a voyage into the void」

2013年09月15日号

会期:2013/08/08~2013/08/24

ギャルリーパリ[神奈川県]

青を基調としたモノクロームに近い色面絵画から、最近は水平方向に広がりのある画面に移りつつある。とくに大作《Into Space》をはじめとする横長の新作は、画面中央に白くて太い水平方向のラインを入れ、その上下にさまざまな色彩をにじませたもの。バーネット・ニューマンの「ジップ」を横倒しにした感じだが、滴り落ちる絵具をそのまま残しているので天地ができ、奥行きも感じられる。そのため、大気圏の層に見えたり、傷口を隠すテープに見えたりもする。おそらく垂直線だと緊張感が生まれて瞑想的になるのに対し、水平線のほうが人の目になじみやすく、具体的な連想を呼び起こしやすいのかもしれない。考えてみれば彼の青い色面絵画も水平線が入り、文字どおり「水平線」を表象していたともいえる。

2013/08/08(木)(村田真)

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