artscapeレビュー

韓国若手作家による「4つの方法」

2009年07月15日号

会期:2009/06/08~2009/07/02

ガーディアン・ガーデン[東京都]

ガーディアン・ガーデンで1994年から開催されている「アジアンフォトグラフィー」シリーズの第6弾。今回は韓国の写真評論家、キム・スンコンのキュレーションで、韓国の「若手作家」4人の作品を紹介している。
出品しているのはユー・ジェーハク、キム・オクソン、パク・スンフン、クォン・ジョンジュン。大地に繁茂する植物群を大判カメラで静かに凝視するシリーズ(ユー)、国際結婚したカップルを自室で撮影したポートレート(キム)、16ミリフィルムの画像を織り込むようにして構成した都市の光景(パク)、林檎をクローズアップした写真を箱形に再構成した立体作品(クォン)と、制作のスタイルはバラバラで、まったく統一感がない。韓国でも、90年代のように、ある一つのスタイルが一世を風靡して強い影響力を持つような時期は過ぎ去ってしまったのだろう。
以前は韓国の現代写真というと、荒々しいエネルギーを全面に押し出した力強い作品が多かった。それが、今回の作品を見ると、洗練され、細やかな配慮が感じられるものになっている。そのやや弱々しく、おとなしい傾向は日本の美術系大学の出身者にも共通しているものだが、本当にそれでいいのかとちょっと心配になってくる。韓国写真の「日本化」は、あまり望ましいこととはいえないだろう。それともこの過渡期を経て、何か新たなうごめきが湧き起こってくるのだろうか。

2009/06/12(金)(飯沢耕太郎)

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