artscapeレビュー
名和晃平「L_B_S」
2009年07月15日号
会期:2009/06/19~2009/09/23
メゾンエルメス8階フォーラム[東京都]
鹿の標本を水疱瘡のように透明の球体でびっしりと覆ったり、仏像やベビーカーなどの表面にカビが生えたようにポリウレタン樹脂を吹きつけたり。これらは彫刻の表面性やテクスチュアなどの問題に対するひとつの解だろうか。不思議だったのは、水槽に粘性の強い乳白色の液体を入れ、下からグリッド状にボコボコと泡立てる作品。これはなんだろうと思ってふと目をあげると、この空間を特徴づけるガラスブロックの窓(というより壁)が目に入った。作者がどこまで計算したかは知らないけれど、このグリッド状のボコボコ泡の液体と、量塊感のある半透明のガラスブロックが奇妙な共鳴を起こしているのだ。
2009/06/30(火)(村田真)