artscapeレビュー
フクシマサトミ「私の意思は細胞の意思?」
2009年07月15日号
会期:2009/06/09~2009/06/21
立体ギャラリー射手座[京都府]
和紙にインクを垂らすという手法で無数の赤いドットが描かれた作品。ギャラリーの壁面を埋め尽くすように展示されていた。歪なかたち、大きさも不揃いな赤いドットがせめぎ合いながら密集しているかのようなその様子は、まさに分裂を繰り返しながら増殖していく細胞のイメージ。近づいて見ると赤インクの滲みやがさまざまな表情を生んでいて美しい。急に落ち着かない気分になったのは、宇宙というつかみどころのないものを連想したせいか。意思とは関係なく生命活動を繰り返す生きものの神秘と自らの存在という関係について問いつづける作家の眼差しがひしひしと伝わってくる作品。ちょっと怖いくらいの圧倒的な迫力にも満ちていた。
2009/06/13(土)(酒井千穂)