artscapeレビュー
やなぎみわ「婆々娘々!」
2009年07月15日号
会期:2009/06/20~2009/09/23
国立国際美術館[大阪府]
ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館代表として出品しているやなぎみわの個展。《マイ・グランドマザーズ》シリーズに始まり、《Fairy Tale》13点、そして《Windswept Women》と3つのセクションで構成されている。ビエンナーレの会場とほぼ同じ状態の展示だという《Windswept Women》は、高さが4メートルもあるという巨大な5つのフォトフレームが配置された空間。髪を振り乱しながら叫んだり踊っている様子の女性たちの巨大写真は、そのサイズもヴィジュアルも圧倒的。その分コテコテのコメディのように大げさな印象もあるが、それも含め会場は、一貫してさまざまな意味で両義性を孕んだやなぎ作品の魅力がいっぱいに詰まっている。この最新作が本展の一番の見どころと言えるのだろうが、個人的には2000年以降に発表された《マイ・グランドマザーズ》全作品をゆっくり堪能できたのが嬉しかった。どのシリーズからも作家のものすごいパワーとエネルギーがうかがえる、見応えのある展覧会だ。
2009/06/20(土)(酒井千穂)