artscapeレビュー
柳宗理 展「手から生まれた、くらしのかたち」
2009年07月15日号
会期:2009/05/16~2009/06/28
松本市美術館[長野]
家具、食器、文具、公共建築など、多岐に渡る柳宗理のデザイン制作をプロトタイプや図面を交えて紹介する展覧会。《バタフライ・スツール》や食器は 代表作としてよく知られているが、《関越自動車道:関越トンネル抗口デザイン》や《横浜野毛山公園案内図》など、こんなものまで!と驚くような、これまで あまり知られていなかっただろう作例も紹介されていて見応えのある内容だった。必ずプロトタイプによる実験を幾度も行ういう制作の行程からは、作り手では なく、使い手の立場から道具を考える徹底的な姿勢ががうかがえる。才能はもちろんだが、それ以上に才覚の偉力を感じる展示だった。
2009/05/30(土)(酒井千穂)