artscapeレビュー

葛井洋彰・齋藤有希子 2人展「spot/draw」

2009年07月15日号

会期:2009/06/02~2009/06/13

ギャラリー16[京都府]

どちらもドットで構成した絵画を発表していたが、二人の印象はまったく異なる。規則的にドットが並んでいるように見える葛井の作品は、まず、真っ先に色の情報のみが目に飛び込んでくるが、じっくり見ると丁寧に描き込まれた奥行きのある透明感が美しく、虫眼鏡などのレンズでモノを拡大してみるときのような面白さがある。一方、齋藤の作品は、混じり合う絵具の色彩と、叙情的な雰囲気のある植物や風景のモチーフが物語のイメージを掻き立てる。不安定で頼りない印象の中に、ついもう一度振り返ってしまうような魅力があった。どちらも記憶に残る作品だったが、見るという絵画の楽しさをじっくりと味わえる展示空間であったのがなにより良かった。

2009/06/13(土)(酒井千穂)

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