artscapeレビュー

やなぎみわ「婆々娘々!(ポーポーニャンニャン)」

2009年07月15日号

会期:2009/06/20~2009/09/23

国立国際美術館[大阪府]

大阪の国立国際美術館のやなぎみわ展。なんとルーブル美術館展と同時開催ということで、お客の入りを心配したのだが、日曜日ということもあってけっこうにぎわっていた。今回は旧作の「マイ・グランドマザーズ」「フェアリー・テール(寓話)」シリーズに加えて、6月7日から開催されているヴェネチア・ビエンナーレにも出品されている新作「ウインドスェプト・ウィメン」シリーズが、国内で初公開されている。
「マイ・グランドマザーズ」はさっと流し見。「フェアリー・テール」のシリーズは、やはりとても魅力的な作品であると感じた。イノセントと残酷さに引き裂かれた少女性が、説得力のある物語として練り上げられている。「ウインドスェプト・ウィメン」も面白い。世界に嵐と破壊をもたらす「風の女神」たちの群像だが、モノクロームの巨大プリントが効果的で、見る者の心を揺さぶる力がある。ただ、特設のテントの中で上映されている映像作品の出来栄えはもう一つか。メイキング映像としての意味合いしか感じられなかった。それにしても、やなぎみわの真骨頂は物語性の強い神話世界の構築にあることを、あらためて確認することができた展示だった。

2009/06/28(日)(飯沢耕太郎)

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