artscapeレビュー
瓜生昭太「認識の深度」
2009年07月15日号
会期:2009/06/16~2009/06/27
ギャラリー16[京都府]
電車の車両のなかの光景をモチーフにした立体と平面作品の展示。電車の扉付近に立ち、携帯電話を操作しているサラリーマン風の男性や女性、座席に座って本を読む人の彫塑像があり、後ろの壁面には直接、彫塑になった人物以外の車両内の光景が描かれている。立体から感じる平面性と平面の奥行きを組み合わせて、他者との関係性で成り立つ「認識」という曖昧な問題にアプローチしているのだが、壁面のドローイングも彫塑も両方が上手いので説得力もある。それ以上に興味深かったのは、実際に電車に乗って車両内を撮影し、その写真をもとに制作しているという事実。作品を見ればなんとなく察することができるが、撮影許可は誰にもとっていないという。撮影するときに緊張しないだろうか?怪しまれないのだろうか?いつかトラブルにならないだろうか?なにか事件を期待してしまうような要素が多くて面白い。
2009/06/21(日)(酒井千穂)