artscapeレビュー

福島菜菜「庄太郎⇔鼻行類 と浮遊生物」

2009年07月15日号

会期:2009/06/23~2009/07/05

neutron[京都府]

福島は、一貫して、読み込んだ夏目漱石の短編集「夢十夜」の1話ずつを個展のテーマにしている。ただ、「夢十夜」のストーリーそのままというのではなく、彼女の場合は、その中から言葉をピックアップして想像を拡げたり、物語からインスパイアされたイメージを展開したり、作品はもはや漱石の物語からは遠く離れたオリジナルの表現となって生まれ変わっている。今展では、不思議な生きもの「鼻行類」をモチーフにしたドローイングの展示が中心。前回見たときにも感じたが、ひとつの言葉を自分なりに解釈しようとする作家の相当熱心な姿勢がうかがえる。今展の作品自体は可愛らしいものが多い印象だったが、やはりその迫力はすごかった。

2009/06/24(水)(酒井千穂)

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