artscapeレビュー

ノーマン・ロックウェル「オールディーズ、その愛しき素顔たち」

2010年06月15日号

会期:2010/05/19~2010/07/11

府中市美術館[東京都]

まさかそれはないでしょ、と思っていたら本当にあった恐い話。ノーマン・ロックウェルといえば、その超絶的写実描写によりアメリカではいまだ絶大な人気を誇る国民的画家、というよりイラストレーター。そのため彼の作品は雑誌の表紙やポスターなど印刷物を通して親しまれ、ぼくも画集でしか見たことがなかった。だから今回の展覧会は、原画に触れて超絶技巧を解読できるまたとない機会として楽しみにしていたのだが、なんと35点のロックウェル作品の約半分は版画を含め印刷ではないですか。もちろんイラストだから複製されたものが本来の姿なのかもしれないけど、美術館で展示するんだから原画展を期待するのが常識でしょう。そもそも計70点ある出品作品のうち、ロックウェル作品は半分だけで、あとの半分はケヴィン・リヴォーリという報道写真家による関連写真の展示という構成なのだ。ま、十数点とはいえ原画を見られただけでもよしとすべきか。

2010/05/23(日)(村田真)

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