artscapeレビュー
金未来展 第一章~第三章「物語の幕開け(狭間に埋もれた心理の空洞)」
2010年06月15日号
会期:2010/05/11~2010/05/23
neutron kyoto[京都府]
群青色が混じる闇の背景に一人の女性が描かれた一連の大きな絵画。深い奥行きをもつ闇の静寂といったが雰囲気があり、そのため一見穏やかな印象もあるのだが、近づいてみると驚く。胸騒ぎがするような繊細な描線の夥しい数と微妙な色の使い分け。描かれた女性の表情や色彩、線の流れの間に誘い込まれていくような気分だ。まだ20代の若い作家で発表経験も浅いそうだが、筆力というのか、繊細な描線で表現されるその作品世界は大きな存在感と魅力を放っていた。
2010/05/11(火)(酒井千穂)