2021年12月01日号
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artscapeレビュー

長谷川等伯

2010年06月15日号

会期:2010/04/10~2010/05/09

京都国立博物館[京都府]

「信春」を名乗っていた時代の精緻な描写の仏画から、京都上洛後、「等伯」となってから晩年までの代表作をほぼ網羅した没後400年の大規模回顧展。入館の待ち時間と館内の混雑を思うと億劫で、もたもたしている間に後期展示が始まり、慌てて出かけた。本展の調査過程で発見され、信春時代の現存唯一とされる金碧画《花鳥図屏風》も話題になっていたが、やはりそれよりも国宝の《松に秋草図屏風》や《楓図壁貼付》がすごい。壮麗な色彩と装飾的なモチーフ、構図のバランスなどさまざまな要素に目を奪われる。そして水墨画の数々、《枯木猿猴図》の猿のいきいきとした描線、なによりも《松林図屏風》の佇まい。空気や光の表現の圧倒的な感動。じつに同一人物なのかと驚くほどイメージが異なる「信春」と「等伯」の画風の変遷を、その背景の解説とともに紹介する会場は、どの展示作品の前も人集り。なので襖にしろ屏風にしろ全体を見ることは叶わず、とてもじっくり鑑賞するという状況ではなかったのが残念だが、それでも100分待ちの看板に怯まず並んだ甲斐はあった。

2010/04/28(水)(酒井千穂)

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