2019年09月15日号
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artscapeレビュー

『ケータイのデザイン』

2011年04月01日号

著者:ヒヨコ舎
発行日:2010/12
発行:アスペクト
価格:1,600円(+税)
サイズ:A5変型、128ページ

1985年のショルダーフォンから現在、そしてまだ実現されていないコンセプトモデルまで、過去四半世紀にわたる期間に日本で発売・発表されたさまざまな携帯電話の写真集。面白いのはその構成。「The Future」「Today」「Classic」の順に3つの部に分かれている。過去から未来へと時系列に辿るのではなく、未来から過去へとデザインの変遷を遡る。そしてもっとも多くのページが割かれているのが「The Future」である。ここで未来の携帯電話として紹介されている製品は、ひとつを除いてすべてコンセプトモデル。携帯電話のデザインがこれからどのような方向を目指すのかを示すものである。その未来像には二つの種類があるようだ。ひとつは将来の技術やサービスの変化や進歩の方向性を設定し、それに基づいた新しい端末の提案。もうひとつは、コミュニケーションのありかたの変化を設定し、そこから新しいサービスをも提案するもの。もちろん両方の未来像をともに取り入れているものもある。これらのモデルの発表年はさまざまであるが、古いものでは2001年に発表されたものも含まれている。すなわち、ここに示されているのは、そのほとんどが過去にデザイナーたちが夢見た未来なのだ。「The Future」においてデザイナーたちがテレコミュニケーションにどのような未来を見ていたのかを考え、「Classic」でカタチのないその存在を彼らがどのようにハードウェアに落とし込んできたのかを振り返る。そして「Today」のページの少なさに、ケータイデザインの「今」の儚さを憂うのだ。[新川徳彦]

2011/03/03(木)(SYNK)

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