2019年09月01日号
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artscapeレビュー

大橋可也&ダンサーズ+空間現代企画「Action, Sound, Conflict」

2011年04月01日号

会期:2011/03/21

Super Deluxe[東京都]

ノイジーで複雑だが音楽的な理性を感じさせる空間現代の演奏と拮抗するかたちで、大橋可也&ダンサーズのダンサーたちは舞台に存在していた。「拮抗」とは、安易に従属せず、独立していたという意味で、上演後1日経ってから不意に「ああ、大橋可也のダンスはマース・カニングハムに似ている!」と思ったこととも連続している。各ダンサーたちがヒエラルキーを構成することなく存在し、それでありながら、すべてのダンサーがある共通の方法論のもとで動いているように見える。ポスト・モダンダンスならば、もっとラディカルに反ダンスを批評的に展開するだろう。モダンダンスならば、もっと無批判的にスタイル化への指向を示すだろう。カニングハムはその中間にいた。カニングハムは前衛的なダンスの可能性を追求しながら、ダンスのダンス性を放棄しない。どっちつかずともいえるが、二つを両立させようとする試みにも映る。大橋からも同じニュアンスを最近感じる。本作でも、夢遊病者のように空間をさまようダンサーたちは、無秩序のようで、しっかりと振り付けられており、暴力的なイメージが喚起されたとしても、そこにはつねに様式的な美しさがある。様式的美しさは、バレエと比較したくなるほどで(この点もカニングハムに似ている)、それが作品としての強度を引き出す分、美しさへの批評的なスタンスを弱めてしまってもいる。けれども、どちらか一方が全面的に正解というのでないとすれば、このどっちつかずから豊かな可能性を展開するのが得策であるに違いなく、いまは「様式美」が目立つとしても、今後、ある種の弁証法的な進展が大橋のダンスの内に起きることを期待している。ちなみに、この企画ではほかに、OFFSEASON featuring 大橋可也&ダンサーズ、 ロロ、core of bellsらの上演が行われた。

大橋可也&ダンサーズ+空間現代

OFFSEASON featuring Kakuya Ohashi and Dancers

2011/03/21(月)(木村覚)

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