artscapeレビュー

時松はるな「ライツ、カメラ、アクション!」

2011年04月01日号

会期:2011/02/28~2011/03/12

ギャルリー東京ユマニテ[東京都]

おかっぱ頭と体操服の少女たちの群像を描く、時松はるなの新作展。前回に引き続き女子ならではの集団心理を巧みに描き出していたが、今回はこれまであまり見られなかった色彩を取り入れることに挑戦した。モノクロームの画面に淡い色合いがよく映えて美しい。控えめな色彩は、描かれた少女たちの喜びや楽しみを倍増させる一方、見えない暗部を逆照する装置としても機能していたようだ。前者を描き出すことは容易である。けれども、カラフルな装いによって、その下に隠れるドロドロとした嫉妬や羨望などをありありと浮き彫りにすることは、なかなか難しい。それをひょいと軽やかにやって見せるところに、時松の真骨頂がある。

2011/03/01(火)(福住廉)

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