2019年07月15日号
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artscapeレビュー

デザイン 立花文穂

2011年04月01日号

会期:2011/03/04~2011/03/28

ギンザ・グラフィック・ギャラリー[東京都]

アートディレクター/グラフィックデザイナーの立花文穂の個展。これまでの創作活動を、いわゆる「紙もの」を中心に振り返る構成だ。ベニヤの合板を組み合わせた簡素な陳列台の上には、立花によってデザインされた印刷物の数々が無造作に並べられた。こうした見せ方にすでに示されているように、立花のクリエイションに一貫しているのは、昨今のデジタル・デザインとは真逆の、手のひらと指先を駆使した手作りのデザインだ。紙の質感や匂い、そして文字の物質性。それらを重視したぬくもりのあるデザインを、身体性を失ったデジタル・デザインへのアンチとして位置づけることはたやすい。けれども、むしろ立花のデザインには、こう言ってよければ、「図画工作」的な衝動が走っているように思われる。それは、何かと何かを切り貼りしたり、つなぎ合わせたり、削り取ったり、誰もが経験したことのある、非常に原始的なものづくりの真髄だ。デザインであろうとアートであろうと、この基本的な欲望からかけ離れたクリエイションが人の心を鷲づかみにすることはありえないのではないだろうか。

2011/03/11(金)(福住廉)

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