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2014年02月15日号のレビュー/プレビュー

日常/オフレコ

会期:2014/01/11~2014/01/30

KAAT 神奈川芸術劇場[神奈川県]

KAATの「日常/オフレコ」展へ。普段は劇場として接している中スタジオが、展示スペースに変貌した。控室、シャワー、搬出入口など、通常は入ることができないバックヤードにも作品が点在し、めぐることで空間の体験を楽しめる。モノの表皮を削る青田真也のピアノやレコード、八木良太の音と映像のインスタレーション、被災した工場をアニメでトレースする佐藤雅晴、漆黒の巨大日本画による梶岡俊幸のインスタレーション、天井から大量のドアを吊るす安藤由佳子。5名のアーティストが、劇場のあちこちのスペースを巧みに使い、KAATの日常を読み替え、知られざる場を白日のもとにさらす。

2014/01/28(火)(五十嵐太郎)

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神奈川県立音楽堂、神奈川県立図書館

[神奈川県]

久しぶりに、前川國男による神奈川県立音楽堂と神奈川県立図書館を訪れた。この頃のモダニズムのデザインは、心を洗われるようで、見ていて清々しい。遠くに巨大な横浜ランドマークタワーが見えるのが、対照的だ。開館当時の60年前は、そう感じられなかったのかもしれないが、いまの大型施設やビルに比べて、スケールも小さくてかわいらしい。いまも現役で活躍しているが、将来も是非ちゃんと残して欲しいモダニズム建築である。

2014/01/28(火)(五十嵐太郎)

いわき平競輪場

[福島県]

公共建築賞の審査で、日本設計によるいわき平けいりんを見学したが、初めて体験するビルディングタイプだった。工期を短縮すべく、プレキャストのコンクリートによって、複雑な曲面を描く走路バンクを建設し、内側からも自転車の競技を間近に見ることができる場を設けている。縦に積んだ直線のメインスタンドから、傾斜した巨大なガラス越しに、街とバンクを見下ろす眺めが素晴らしい。透明感もあり、空港のように明快な空間だ。バンクの内側、バックスタンド、別棟の集会所は、地域の住民にイベントで開放し、明るいイメージをもつ現代的な競輪の施設だ。震災直後も防災の拠点として活躍している。

2014/01/29(水)(五十嵐太郎)

いわき芸術文化交流館アリオス

[福島県]

公園と川に挟まれた、いわきのアリオスにも立ち寄る。設計は清水建設と佐藤尚巳。外観から各ヴォリュームは独立して見えるが、大ホール、中劇場、小劇場、飛び出すスタジオが吹抜けの交流ロビーのまわりに展開する。ここで行き交う視線の空間は現代的だ。さらに建て替え前の旧施設の音楽専用の小ホールも連結し、地方都市としては恵まれたスペックの公共施設と言えよう。少なくとも仙台には、これだけの文化複合施設はない。

2014/01/29(水)(五十嵐太郎)

玄侑宗久『光の山』

発行所:新潮社

発行日:2013/04/26

福島在住僧侶である玄侑宗久の小説『光の山』を読む。虫、仮設住宅、家族の喪失、そして放射線の線量をめぐる短編集だが、やはり表題作『光の山』が印象的だった。これは3.11、東京震災、富士山噴火後の遠い未来を描く。老人が福島の汚染土を自宅の広大な敷地で引き受け、それがどんどん集まり、いつしか山となった。彼が亡くなった後、山は発光し、やがて宗教的な場が観光地となる物語である。思いもかけない未来の神話だ。

2014/01/29(水)(五十嵐太郎)

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