artscapeレビュー

2014年02月15日号のレビュー/プレビュー

秋山祐徳太子大博覧会

会期:2014/01/09~2014/01/25

ギャラリー58[東京都]

芸大受験時の作品や受験票、武蔵美の卒業制作から、70年代に都知事選に立候補したときのポスターや写真、そのとき使ったスピーカー、「グリコ」ならぬ「ダリコ」のランニングセット、各種ブリキ彫刻、ライカ同盟の写真、新作のブリキの小判まで約250点。小品や資料が多いとはいえ点数だけでいえば美術館並み。銀座の画廊でやる数じゃないよ。お値段は最高70万円のブリキ彫刻から小判1枚1万円まで格安。それにしても都知事選が始まる絶妙のタイミング。ドクター中松より若いんだから、泡沫の「大御所」として立候補すればよかったのに。

2014/01/25(土)(村田真)

倉重光則展

会期:2014/01/10~2014/01/25

ステップスギャラリー[東京都]

正方形を基本モチーフに絵画、金属にネオン管などを組み合わせた作品。倉重さん、70年代から見てるけどブレない。でも日本ではブレたほうが生きやすいかも。

2014/01/25(土)(村田真)

中村ケンゴ「心文一致」

会期:2014/01/14~2014/02/01

メグミオギタギャラリー・ショーケース[東京都]

(-^0^)みたいな記号を組み合わせた「顔文字」を分解し、画面いっぱいにちりばめている。色彩といい形態といい、パッと見、クレーかカンディンスキーの抽象画を思わせるが、じつはEメールで用いる記号を日本画で描いているという意外性。そもそも顔文字とは相手に自分の気持ちをストレートに伝えるために工夫された表現。もっといえば、記号表現(文)と意味内容(心)を一致させようとする「心文一致」の試みともいえるだろう。だとすればそれは象形文字である漢字を使う日本人の得意とするところであり、日本文化と違和感なく共存するものだ。この絵が素材的にも技法的にも「日本画」であることは、意外などころかむしろ必然的ともいえるのだ。いいね!

2014/01/25(土)(村田真)

第8回シセイドウ アートエッグ展 加納俊輔展 ジェンガと噴水

会期:2014/01/10~2014/02/02

資生堂ギャラリー[東京都]

部分的に重ねたベニヤ板を撮影し、そのプリントをベニヤ板に貼って組み替えたものを、また撮影してベニヤ板に貼り……というような作業を繰り返した写真。「写真」の写真であり、「写真」について考えさせる写真。クオリティは高いけど、こういうのって70年代にあったな。

2014/01/25(土)(村田真)

外林道子個展「體と臓」

会期:2014/01/11~2014/02/01

東京画廊[東京都]

墨で描いた腸か脳みたいな、内臓系の絵。てっきり水墨画だと思ったら、書でした。「體」は書体の体で漢字のかたちを表わし、臓はそのかたちのなかで変容する墨の様子を表わしてるそうだ。おそらく漢字というのは腸のごとく蠕動しているもので、それを2次元に切断または投影した面に表われるかたちが書なのだ。

2014/01/25(土)(村田真)

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