2023年01月15日号
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artscapeレビュー

2010年11月01日号のレビュー/プレビュー

キャラバン隊・美術部 第三回展覧会 JIROX かなもりゆうこ二人展「BANG A GONG! トーキョー/キョート」

会期:2010/10/01~2010/10/10

MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w[京都府]

美術と出版で活動する「キャラバン隊」が企画した展覧会。映像作家のかなもりゆうこと、パフォーマー&オブジェ作家のJIROXが共演した。展示は、かなもりの映像(3画面で1点の作品)と、JIROXのオブジェからなる。JIROXは終日会場にいて、自作楽器で即興演奏をしたり、頭部を叩いて打楽器代わりにしていた。かなもりの作品は普段とは少し様子が異なり、JIROXの世界がそのまま引っ越して来たかのよう。一見アンバランスな取り合わせの本展だが、見れば見るほど馴染んできて、やがて絶妙のコラボだとわかる。それにしてもJIROXは、まるで仙人のようだ。彼を知っただけでも、本展に出かけた価値があった。

2010/10/02(土)(小吹隆文)

三瀬夏之介 展「肘折幻想」

会期:2010/10/02~2010/10/23

イムラアートギャラリー[京都府]

以前は奈良県在住で、関西で頻繁に展覧会を行っていた三瀬だが、山形県に移住してからはとんと御無沙汰。最近は「東北画は可能か?」なんて言い始めて、ますます実態が分からなくなっていた。それだけに本展は、彼の現在を知る貴重な機会となった。山形の肘折温泉で制作した《肘折幻想》は、十曲一隻の大作屏風。作風は一見以前と変わらないが、無軌道すれすれの混沌というよりは、沈静な趣をたたえた作品だった。会期初日に本人と話す機会を得たが、キーワードの「東北画」とは、独自の様式ではなく、自分が乗り越えるべき壁として設定されているように感じた。三瀬は今までもずっと自分で課題を設定し、それを乗り越える過程で進化を続けてきた作家だ。山形という新たな環境、「東北画」という新たな課題を得た三瀬が、今後どのように展開して行くのか、期待が募る。

2010/10/02(土)(小吹隆文)

ニューアート展2010「描く─手と眼の快」

会期:2010/09/30~2010/10/19

横浜市民ギャラリー[神奈川県]

2006年から横浜市民ギャラリーが毎年企画している「ニューアート展」。今年は、1984年生まれの赤羽史亮と1921年生まれの石山朔の作品をそれぞれ展示した。一見して分かるのは、双方の作品が好対照だということ。赤羽が暗い色と厚みのあるマチエールでアニメキャラクターなどを描くのに対し、石山は強烈な色彩によってダイナミックな抽象画を描く。陰鬱で抑圧された若者と爆発的に解放された老人ということなのか。たしかに石山の初期作を見ると、赤羽ほど黒いわけではないが、色彩はいずれも淀んでおり、筆致の運動性は見られるものの、現在のような重層性は見出せないから、若年の暗さから老年の明るさという図式は、ある程度妥当するように思える。とはいえ、石山の最新作は画面の構成も色の重なりや発色も、以前と比べて若干トーンダウンしているように見えたので、必ずしも無限に明度を高めていくわけでもないようだ。繊細で傷つきやすい内面を外側に表出するという点では、実年齢にかかわらず、どんなアーティストにも通底しているのだろうが、石山がすぐれているのは、それを絵画のみならず小説、フラメンコ、そしてカンツォーネといったさまざまなアートで表現しているからだ。石山の抽象画に感じられる音楽的な律動には、カンツォーネが内側に抱える哀しみがある。

2010/10/02(土)(福住廉)

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藤本絢子 個展 “あかく歪む私の箱庭”

会期:2010/10/05~2010/10/10

同時代ギャラリー[京都府]

ここ3年ほど、金魚をモチーフにした絵画を制作し続けてきた藤本が、シリーズの集大成的な個展を開催。金魚の顔を真正面から描いたキャッチーな構図の作品から、半ば抽象化された物まで、その触れ幅はさまざま。300号や150号の大作を惜しみなく出品しており、同シリーズの集大成的展示となった。

2010/10/05(火)(小吹隆文)

カッレ ランペラ展 ─HANDWERKE─

会期:2010/10/05~2010/10/23

サイギャラリー[大阪府]

大阪の淀川べりの風景や広島の厳島神社、モスクワのビルなどを、シンプルな線描で描いている。描写は程よく簡略化されていており、センスの良い作品だ……と思っていたら、線が紙から浮いているではないか。なんと、紙の上に糸を引いてあるのだ。自分が撮影した風景写真を紙の上に投影し、針で穴をあけて糸を通しているらしい。いやはや、よく思いついたものだ。雑誌やポスターのイラストにも向いていそうなので、扱い方次第で幅広く活躍できる人材なのでは。

2010/10/06(水)(小吹隆文)

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