2017年09月15日号
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artscapeレビュー

セレステ・ウレアガ/カクガワエイジ「doble mirada 2つの視点、そこから見える未来へ」

2016年10月15日号

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会期:2016/09/01~2016/09/04

ニューロ吉祥寺[東京都]

セレステ・ウレアガはアルゼンチン・ネウケン出身の写真家、ビジュアルアーティスト。ブエノスアイレスでスタジオ390を運営し、ロックミュージシャンのポートレートやオーディオビジュアル作品を中心に制作・発表している。彼女は2015年に来日し、東京・麹町のセルバンテス文化センターで写真展「アルゼンチンロックのポートレート」を開催した。そのとき、石黒健治の写真ワークショップ「真眼塾」を主催しているカクガワエイジと知り合い、意気投合したことが、1年後の二人展に結びついた。
吉祥寺・井之頭公園近くの会場には40点の写真が2列に並んでいた。上下2枚の写真のうちどちらかがウレアガかカクガワの写真だが、作者名は明記されていない。「愛、生、死」など漠然としたテーマ設定はあるが、写真の選択はかなり恣意的に見える。モノクロームあり、カラーあり。ウレアガのアルゼンチンの写真と、昨年の来日時に日本で撮影した写真が混じり合っており、カクガワも日本だけではなく、パリ、ロンドン、フィンランドなどでも撮影している。まさにカオス状態が出現しているのだが、それでも自ずとアルゼンチン人と日本人の写真を介したコミュニケーションのあり方の違いが浮かび上がってくるのが興味深かった。会場の最初のパートに展示された2枚の写真が象徴的だろう。「閉じたドア」(カクガワ)と「開いた目」(ウレアガ)である。それらはコミュニケーションの回路が内向きに閉じがちな日本と、底抜けに開放的なアルゼンチンの状況を明瞭に指し示している。
このような異文化交流は、継続していくことでさらなる実りを生むのではないだろうか。まったく正反対にかけ離れているからこそ、刺激的な出会いもありそうだ。次はぜひ「地球の裏側の国」アルゼンチンでも二人展を実現してほしい。

2016/09/01(木)(飯沢耕太郎)

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