artscapeレビュー

ダリ 展

2016年10月15日号

会期:2016/09/14~2016/12/12

国立新美術館[東京都]

眼に異常を感じたので、展覧会に行く前に眼科医に見てもらったら、検査のため瞳孔を拡大する薬を差され、視界が白くぼんやり感じる。4、5時間ほど直らないらしいので、仕方なく瞳孔が開いたまま内覧会を見る。まるで突っ立った死体。まあダリ展にはふさわしいかも。ちなみに眼の異常は単なる飛蚊症でした。さて今回のダリ展、サブタイトルがついてない。生誕100年とか没後50年とかでもなく、またダリの母国スペインとの国交何年というわけでもなく、ただの「ダリ展」なのだ。モチベーション下がるなあ。ざっと見ていくと、初期のころはポスト印象派やフォーヴィスム、キュビスム、抽象とさまざまなスタイルを試し、20代なかばごろから幻想的な風景をリアリズム風に描写する、いわゆるダリのスタイルを確立していくのがわかる。以後半世紀にわたりこのダリ・スタイルを維持した(最晩年はメロメロに崩れ、なぜか岡本太郎を彷彿させる)。たしかにこうした寂寥としたイメージは魅力的だし、多くの日本人画家が昭和初期の不安定な時代に影響を受けたこともうなずけるが、もはや感性のすり切れたおやじには、かつて夢中でながめたなあという懐メロ気分しか味わえない。それより飛蚊症のほうがよっぽど刺激的だ。

2016/09/13(火)(村田真)

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