artscapeレビュー

ヤドカリトーキョー展示企画vol.17 『霞の灰皿』 Do buildings dream of wanting?

2016年10月15日号

会期:2016/09/16~2016/09/18

早野ビル[東京都]

都内の空き物件に間借りして作品を展示するヤドカリ集団、今回は霞町交差点に面する早野ビルの空き室を借りた作品展だ。使えるのは4階、7階、屋上の3フロア計5室。山田沙奈恵は各室のシンクに、川で水切りをする写真を置いた。水面に石を投げて何度跳ねたか競う水切りは、展示場所を次々変える「ヤドカリトーキョー」を象徴している。それをシンクという額縁または凹状の台座の上に置き、上から見下ろすかたち。山田哲平は部屋の中央上にスピーカーを下向けに設置し、そこから赤い糸を垂らして黒いスリップを吊るしてる。そのうちドクン、ドクンと心臓の鼓動のような振動が聞こえ、スリップを揺らす。渡辺望は白い粒が無数に広がる天体のような写真を展示。よく見ると天体ではなく、道に捨てられたガムとアスファルトの細かい反射光だ。作品は個々におもしろいものだが、窓から霞町交差点や首都高が見える絶好のロケーション(その1室はかつてジュリーこと沢田研二が借りてたそうだ)に勝る作品はないでしょう。

2016/09/18(日)(村田真)

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