2022年12月01日号
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artscapeレビュー

アートアワードトーキョー丸の内2011

2011年08月15日号

会期:2011/07/03~2011/07/31

行幸地下ギャラリー[東京都]

全国の美大卒業・修了制作展から選抜した新人アーティスト30人の展示。ずいぶん大学に偏りがあるなあ、というのが第一印象。数えてみると、東京藝大10人、京都市立芸大と京都造形芸大が各5人。この3校で全体の3分の2を占め、あとの8校は1人か2人しか選ばれていない。選択する側にこれらの大学のセンセーもいるんだろうね。一番すばらしかったのは、小山真徳(東京藝大)の《わたしの荒野》と題するインスタレーション。作者らしきマネキンを中心に、全国の土産品を並べた棚や机を置き、数点の絵を飾っている。おそらく作者は各地を巡りながら絵の修行をしているという設定だろうが、注目したいのはそれらの絵が高橋由一に由来しているということだ。日本のヴァナキュラーな風土で絵を描き続ける自分を、近代以前の日本に西洋の油絵を接続するため悪戦苦闘した由一にダブらせようとしたのかもしれない。これはグランプリで文句なし。あとは、装飾的な室内風景を描いた大久保如彌(武蔵野美大)の具象画と、明彩色で筆跡を残しながら描いていった山本理恵子(京都市立芸大)の抽象画。大久保の作品には一見マティスやヴュイヤールにも通じるアンチームな空気が漂い、つい見過ごしてしまいがちだが、静かな狂気のようなものが感じられ、そこに共感がもてる。山本は完成されたイメージを持たずにどんどん描いていき、結果的に「室内風景」のイメージが立ち現われたのだそうだ。こちらは高橋明也賞を受賞。さきにふたりを具象画と抽象画に分けたが、図らずも両者とも「室内風景」に行きついたのが興味深い。

2011/07/07(木)(村田真)

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