artscapeレビュー

中岡真珠美 展「less is more/more is less──引くことはたすこと あるいはたすことは引くこと」

2011年08月15日号

会期:2011/07/04~2011/07/16

Oギャラリーeyes[大阪府]

中岡真珠美の新作展。採石場をモチーフにした作品が展示された今展では、カンバスに描いた作品とともに、32枚のドローイングによって構成した一連の作品も発表された。全体は採石場の風景として成立するものだが、物質性や色など、それらのエレメントを自由に変換した一枚ずつのイメージも面白い。一貫して身近な風景をモチーフに描いてきた中岡だが、これまではどちらかというと画面ではある特定の要素のみが抽出され際立つ、という作品を展開していた。その他のイメージを取り去るという引き算の描き方によって見る者の想像を喚起するものだったが、今回は逆に、さまざまな要素が色とりどりに描かれている。インパクトもさることながら、なにより作家自身がその制作であらたなイメージの発見という体験を繰り返し、楽しみながら描いているのが伝わってきたのが良い。今後も楽しみ。

2011/07/16(土)(酒井千穂)

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