artscapeレビュー
藤原彩人 展
2011年08月15日号
会期:2011/06/16~2011/07/10
gallery21yo-j[東京都]
高さ110~120センチほどの陶による人物像が5体、床に置かれている。いちおう分類してみると男2、女3で、それぞれワンピースやジャンパー、ジャケットなどを羽織り、髪は黒、茶、黄色と多彩だ。共通しているのは、どれも脚が短くて腕が長く、胸まわりより腰まわりのほうが大きく、重心が下のほうにあること。ギリシャ彫刻のような鍛え上げられた肉体美とはほど遠い、はっきりいってみっともないプロポーションだ。おまけに顔はやや上を向いて口をぽかんと開けているので、しまりがない。これはひょっとして弛緩しきった現代の日本人のカリカチュアかとも思ったが、作者の説明を聞いて納得。すなわち、陶土で自立させるには安定性を保つために重心を低くしなければならず、また、焼成するには上部に通気口を開けなくてはならないので、おのずとこういうかたちになるのだ。なるほど、食いものや生活スタイルの違いによって西洋人と日本人の身体プロポーションに差がついたように、素材や制作過程がかたちを決定する場合もあるわけだ。
2011/07/03(日)(村田真)