artscapeレビュー
写真で恵比寿をめぐる旅(恵比寿文化祭2014)
2014年11月15日号
会期:2014/10/11
毎年秋に、恵比寿一帯で開催されている恵比寿文化祭。今年も展覧会、イベント、パフォーマンスなど、盛りだくさんの催しが10月11日~13日にかけておこなわれた。その一環として、僕がコンダクターとなって恵比寿界隈の写真展会場を回る「写真で恵比寿をめぐる旅」という街歩きイベントが開催された。1995年に東京都写真美術館が恵比寿ガーデンプレイスに本格開館したのが呼び水となって、この地域には写真作品を展示するギャラリー、スペースが増えてきている。いまや恵比寿は「写真の街」といってもおかしくはないだろう。
今回は中川彰の「バウルを探して」展を開催中の恵比寿ガーデンプレイス・STUDIO38を皮切りに、POST、山小屋、NADiff a/p/a/r/t(MEM、G/P Gallery)、Earth & Salt、写真集食堂めぐたまを15人ほどで回った。各会場15~20分という短い時間だったし、他にも行きたい場所があったので決して充分とはいえないが、最初の試みとしてはまずまず成功だったのではないだろうか。山小屋の松本美枝子「すべて とても よい」(2011年にキューバを撮影した写真群)、Earth & Saltの滝口浩史「狭間_窓_」(家族の生死をテーマにした写真シリーズ。写真集『窓』がアメリカの出版社Little Big Manから刊行)など、クオリティの高い展示を、会場で写真家本人の解説で見ることができたのは、参加者にとってもとてもよい経験になったのではないかと思う。
ただ、次回はもう少し展覧会を絞り込んで、じっくり時間をかけて回った方がいいかもしれない。また、この企画は新宿や銀座など、他の地域でも実現可能だろう。拡大版の「写真で東京を巡る旅」もやれるといいと思う。
2014/10/11(土)(飯沢耕太郎)