2021年11月15日号
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artscapeレビュー

石元泰博写真展 この素晴らしき世界

2014年11月15日号

会期:2014/10/12~2015/04/05

高知県立美術館 石元泰博展示室[高知県]

2012年に石元泰博が亡くなったあと、その遺品の数々は高知県立美術館に寄贈された。既に生前の2006年に「石元写真作品及び写真ネガフィルム等を高知県立美術館に収蔵し、作品目録を作成し、独自のコレクションとして、その整理、保存、展示などに努めることとする」という契約書がとり交わされていたのだという。その数は写真プリント約35,000枚。フィルム約15万枚、著書約5,000冊、他にカメラ一式、家具・調度品などにも及んでいる。あわせて、石元の著作権も高知県立美術館に移譲されることになった。
それを受けて、2013年に美術館内に石元泰博フォトセンターが開設され、常設の石元泰博展示室の改修工事が進められた。今回の「石元泰博写真展 この素晴らしき世界」は、そのオープニング記念展ということになる。
展示は3期(各期約30点)に分けられていて、その第1期にあたる今回は、インスティテュート・オブ・デザイン在学中の1948~52年にシカゴで撮影された「街」のシリーズから、2006年の「シブヤ、シブヤ」まで30点が展示された。石元の作品世界を過不足なく概観できるいい展覧会で、今後の展示も大いに期待できそうだ。また展示室内には、石元の自宅マンションの部屋を椅子や、テーブルごと移設したスペースが設けられており、愛用のカメラの展示なども含めて、彼の作品世界がどんな環境で形をとっていったのかが実感できるようになっていた。
石元泰博フォトセンターの今後の活動は、写真家の遺作・遺品をアーカイブとしてどのように保存・活用していくのかという、大事なモデルケースになると思う。その成果が実り多いものとなっていくことを期待したい。

2014/10/12(日)(飯沢耕太郎)

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