2022年07月01日号
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artscapeレビュー

hanayo「colpoesne」

2010年09月15日号

会期:2010/08/06~2010/08/15

UTRECHT/NOW IDeA[東京都]

そういえばhanayo(花代)のデビュー写真集が『うめめ』ならぬ『ハナヨメ』(新潮社, 1996)だったことを思い出した。梅佳代もそうだったのだが、hanayoの「女の子写真」をさらに崩し字で書いたような「ボケボケ」のスタイルも、当時は写真界の評価は最悪だった。その後、ドイツに渡り、ドイツ人と結婚して女の子を産みといった経歴を積み重ねるなかで、イラストや音楽も含むマルチアーティストぶりには磨きがかかり、現在ではベルリンと東京を往復してコンスタントに作品を発表するようになっている。
今回はUtrechtから刊行された写真集『colpoesne』にあわせた展示。写真集はモノクロ・ページとカラー・ページが交互に並ぶ構成で、アンカット(フランス装)の造本になっており、ペーパーナイフでページを切り取りながら写真を見る仕掛けが施されている(装丁はRupert Smyth)。その凝った造りは写真の内容にも即していて、モノクロのページはかっちりと構造的に組み上げられた写真、カラーのページはどちらかといえばゆるい開放的な写真を中心に構成される。タイトルが謎めいていて、最初は意味がわからなかったのだが、表紙の文字を見ているうちに謎が解けた。「close」と「open」という言葉の綴りが交互に並んでいるのだ。ということは、モノクロ部分は「close」に、カラー部分は「open」に対応しているということなのだろうか。
このような複雑なコンセプトをきちんと形にできるというのは、かつてのhanayoの作品を知る者から見ると驚きとしかいいようがない。アーティストとしての成長の跡が作品にきちんと刻みつけられているということだろう。なお、展示もかなり複雑なインスタレーションで、部屋の中央に壁で囲まれた仮設の小屋のようなものがあり、その中は真っ暗で、床にちらばった写真をヘッドランプで照らして見るようになっている。小屋のまわりには、モノクロームの室内の写真が、やはり無造作にちらばっていた。イノセントな眼差しはそのままだが、表現力が格段に違ってきているのがよくわかった。

2010/08/11(水)(飯沢耕太郎)

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