artscapeレビュー
多摩川アートラインプロジェクト実行委員会編『街とアートの挑戦』
2010年09月15日号
発行所:東京書籍
発行日:2010年4月22日
2007年に開始した東急多摩川線を舞台とする、多摩川アートラインの三年間の記録である。清水敏男のディレクションのもと、アーティストや建築家らが参加し、駅や車両、あるいは駅のまわりで、さまざまな作品を手がけたプロジェクトだ。決して派手なイベントではないが、路線沿いにネットワークを形成しながら、身近な場所があちこちで変容する風景が印象に残っている。筆者も二回ほど出かけ、2007年にアトリエ・ワンのインフォ・トンネル、2008年に関根伸夫の伝説的な作品「位相─大地」の再制作やフロリアン・クロールの作品などを見学した。本書を読むと、どのようにアートラインが始まったのか、それがどう評価されたのか、あるいはどのような問題があったのか、がわかる。また参加者のコメントも寄せられており、今後、こうした企画がなされるときの礎になっている。
2010/07/31(土)(五十嵐太郎)