artscapeレビュー
印象派とモダンアート
2010年09月15日号
会期:2010/07/10~2010/09/20
サントリーミュージアム天保山[大阪府]
印象派が活躍した19世紀後半から20世紀後半までの、いわゆるモダンアートと呼ばれる期間の美術のさまざまな傾向と、そこで生み出された作品を紹介する展覧会。サントリーミュージアムの所蔵品を中心に、国公私立美術館、個人から借用した作品を交えた98点で構成された。会場は「光との対話──印象派の試み」「具象の領域──20世紀美術の一断面」「色と形の実験──20世紀美術の新しい表現」という3つのセクションに分かれており、それぞれを「彫刻の小部屋」「花束の回廊」というテーマ展示でつないでいた。ピサロ、モネ、シスレー、ルノワールなど印象派を代表する画家たちが紹介されていた第1部の、ピサロの初期から晩年までの10点の作品を時系列に追った展示は特に興味深かった。“超・印象派”の画家の代名詞というイメージがあったのだが、順に展示作品を見ていくと、バルビゾン派や写実主義の影響を受けた初期の作品から晩年に描いた都市の風景まで、筆のタッチや色調など、何度かの画風の変遷がうかがえる。また、今展のなかでもユニークだったのが「花束の回廊」。ルドン、マティス、デ・キリコ、キスリング、ローランサン、ビュッフェなどさまざまな画家の、花をモチーフにした絵画が順路の左右の壁にずらりと展示されているのだが、それぞれの強烈な個性が際立って見えるのがじつに面白い。できればもう一度見に行きたいと思った空間。
2010/08/08(土)(酒井千穂)