artscapeレビュー
あいちトリエンナーレ2010
2010年09月15日号
会期:2010/08/21~2010/10/31
愛知県美術館、名古屋市美術館ほか[愛知県]
横浜より後発だし、メイン会場は美術館だし、越後妻有や瀬戸内のような旅情もないし、にゃんつったってニャゴヤだし……ぜんぜん期待しないで見に行った。が、建畠さん失礼しました、すごくおもしろかったです(建畠晢氏は芸術監督)。毛皮を継ぎはぎして巨人像をつくった張洹(ジャン・ホァン)、ダジャレのようにネタを繰り出すトム・フリードマン、2階のテラスからときどき本が落ちてくる孫原+彭禹(スン・ユァン+ポン・ユゥ)、抽象表現主義絵画を映像で動かしたような小金沢健人、コンピュータの画面を手づくりで演じてみせるアーヒム・シュティーアマン&ローランド・ラウシュマイアーなど、諧謔的でユーモアに富んで視覚的インパクトも強い作品が多い。まさに「都市の祝祭」にふさわしい頽廃的作品ばかり。近ごろ越後妻有や瀬戸内でエコ系や癒し系にいささか食傷気味だったこともあって、その反動かも。長者町の空きビルを使った淺井裕介や渡辺英司らのインスタレーションも力作。ぼくの知る限り、これまで日本で開かれた国際展のなかで最良のものだといっておこう。ぜひ見に行くべし。
2010/08/20(金)(村田真)