artscapeレビュー

北城貴子 展「Circulation of the light」

2010年09月15日号

会期:2010/07/10~2010/08/07

Gallery Nomart[大阪府]

昨年、京都で見た個展とはずいぶん異なる印象の作品が並んでいた。今展で発表された作品群もまた光が降り注ぐ風景を描いたものではあるのだが、以前見た鬱蒼とした木々の間に射し込むゆるやかな光や、水面に反射して揺れ動く日射しといったイメージではなく、もっと視線が近い距離の光景で、強烈にスパークするような眩しさに溢れていた。どの作品も目が眩むほどの明るさが漲っている。足下に咲く花や、緑の生い茂る風景を描いた画面の表層には、白っぽい絵の具の飛沫がまるで踊るように大胆に散っているのだが、それが筆のタッチや画面の豊かな色彩を絶妙に隠し、朧げに見えるモチーフの存在をかえって際立たせ、イメージを広げる。会場の1階に展示された大きな作品は特に圧倒的な雰囲気。強い光が反射する様子やその瞬間の緊張感をたたえた鮮やかで美しい絵画空間に興奮した。

2010/08/07(土)(酒井千穂)

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