2021年09月15日号
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artscapeレビュー

2012年12月15日号のレビュー/プレビュー

長者町ゑびす祭り

会期:2012/11/10~2012/11/11

長者町[愛知県]

長者町のえびす祭りを体験する。斉と公平太のゆるキャラ・アートの長者町くんのほか、あいちトリエンナーレ2010のときに制作されたKOSUGE1-16の山車によるパレードが人目をひいた。ダイナミックな回転運動、そしてゲートをくぐるときに上下する頂部。これはまさしくモバイル・アーキテクチャーだった。都市の祝祭をうたうトリエンナーレのアート作品が、町の祭りに組み込まれたことも素晴らしい。

2012/11/10(土)(五十嵐太郎)

分館爲三郎記念館 特別展 高北幸矢インスタレーション「落花の夢」

会期:2012/10/13~2012/12/16

古川美術館[愛知県]

古川美術館・分館の為三郎記念館にて、デザイナーの高北幸矢によるインスタレーション展「落花の夢」を見る。すでにガラスの透明性を獲得しつつも、凝った木造のディテールが共存する近代の数寄屋建築のあちこちに、赤い造花がささやかに散りばめられる。建築と庭の空間を引き立てる展示だった。

2012/11/10(土)(五十嵐太郎)

さわひらき──Whirl

会期:2012/10/23~2012/11/24

神奈川県民ホールギャラリー[神奈川県]

毎年秋、気鋭の若手アーティストを紹介してきた神奈川県民ホールギャラリーだが、およそ1,450平方メートルにもおよぶ地下の大空間を作品(しかも新作中心)で埋めるのは至難の業。もちろん潤沢な予算など期待できないので、絵画や彫刻はおろかインスタレーションでもおぼつかない。そこで頼りになるのが映像だ。映像ならプロジェクションすればいくらでも大きくなるし、部屋が暗いので広さも気にならないからだ。実際、ここ数年に選ばれているのは小金沢健人(2008)や泉太郎(2010)ら映像系のアーティストが多い。で、今年はさわひらきだから順当な、あまりに順当な人選といえるだろう。旧作も少なくなかったが、映像はインスタレーション次第で新たな作品として見ることができるので退屈しなかった。

2012/11/11(日)(村田真)

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奈良・町家の芸術祭 HANARART 2012

会期:2012/11/01~2012/11/11

郡山城下町・旧川本邸[奈良県]

2011年に開催された「奈良・町家の芸術祭 HANARART」の2回目。こちらも歴史のある古い町家や町並みを舞台にしたアートイベントだが、町家などを会場にした展覧会は、公募で選出されたキュレーターたちが現地に何度も足を運び、アーティストや地域住民とともにつくり上げるという点がユニーク。今回は11人のキュレーターが選ばれ、奈良県内6エリアの15会場でそれぞれ企画イベントが行なわれた。大和郡山市にある、大正13年から昭和33年まで遊郭として使われていた木造3階建ての建物(旧川本邸)で開催されていたのは山中俊広のキュレーションによる展覧会。直接的なイメージや具象的な表現を極力避け、抽象的表現やその色彩から、歴史が刻まれたこの特異な空間の「記憶」や物語についての鑑賞者の想像を喚起したいと構成された会場。展示されたのは野田万里子、加賀城健、岡本啓、中島麦、前谷康太郎の5名の作家の作品。中庭に垂下がった加賀城健の薄い染色作品、髪結場に展示された中島麦のペインティング、玄関と浴室、二階の格子の窓辺が使われた野田万里子のインスタレーション作品など、各アーティストの作品展示は、どれも印象を引き摺って揺さぶられるものばかりだった。遊郭という歴史のあるこの建物での展示はキュレーターにとっても作家達にとっても難しいものだっただろう。しかし、キュレーターの意向に応えるアーティストたちの力量も感じた展覧会。見応えのある良い内容だった。


左=加賀城健《刹那》
右=野田万里子《Locked them in the glass》

2012/11/11(日)(酒井千穂)

フランク・ロイド・ライト、遠藤新《自由学園 明日館》

[東京都]

五十嵐研の教え子同士の結婚式で、明日館を訪れる。いかにも建築系の場所だが、式でエヴァンゲリオン旧劇版の楽曲「甘き死よ、来たれ」が流れたことには驚かされた。さすが研究室第一期、最強の二人である。加茂川智哉の卒計は漫喫、修士設計でサブカルチャーの聖地である中野ブロードウェイ改造計画。アニメ好きの鈴木茜は卒計日本一ファイナリスト、修士はトウキョウ建築コレクション最優秀だった。なお、結婚式用の建築ではないので、やたら横に長いプロポーションの部屋での会食は新鮮な空間の使い方である。

2012/11/11(日)(五十嵐太郎)

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