2021年09月15日号
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artscapeレビュー

2012年12月15日号のレビュー/プレビュー

神田コミュニティアートセンタープロジェクト「TRANS ARTS TOKYO」

会期:2012/10/21~2012/11/25

旧東京電機大学校舎11号館ほか[東京都]

神田のTRANS ARTS TOKYOを訪れた。解体予定の旧電機大学の校舎がまるごと展示空間になっており、ぶっとんだ学園祭のようである。13階は建築系だが、たぶん少ない予算のため、大量の紙を貼る+映像といった類似した展示のパターンが多い。最近はどうしても展示環境を見てしまうのだが、改めて学校空間は出入口を管理しやすいと気づく。

2012/11/16(金)(五十嵐太郎)

墨田まち見世2012/特別企画「どこにいるかわからない」展

会期:2012/11/10~2012/11/25

SOURCE Factory、現代美術製作所[東京都]

東向島の「どこにいるのかわからない」展をまわる。路地と屈曲した通りに沿って、空き家、空き地、旧工場などを使い、幾つものアートプロジェクトが展開し、文字通り、道に迷い、どこにいるのかわからなくなるような場所性を体験する。個別の作品もこのコンセプトを意識したものが多い。ここのまちづくりに関わってきた真野洋介のトークでわかったのは、墨東のエリアには、北川貴好、KOSUGE1-16、戸井田雄が入っており、あいちトリエンナーレの長者町の作家とかぶっていること。そして土屋公雄の薫陶を受けた武蔵野美大の建築系ネットワークが強い。ゆえに、展示も空間を使う力作がそろう。

2012/11/16(金)(五十嵐太郎)

第2回 日本画先端表現コース展[パッケージ]

会期:2012/11/02~2012/11/25

アートベース石引[石川県]

金沢といえば保守的な街のイメージがあるから、金沢美大の日本画科なんかウルトラコンサバかと思っていたら、最近は先端表現コースもできたんだそうな。これも21世紀美術館効果かもしれない、とのたまうのは同コースで孤軍奮闘する吉田暁子センセ。昨日は吉田センセの招きでレクチャーし、今朝は彼女の教え子たちの作品をケナシたあと、彼らの展覧会を見に来たというわけ。たしかに抽象あり、マンガあり、映像あり、ボックス状インスタレーションありと、伝統的な日本画からすればずいぶん逸脱しているし、興味深い作品もないわけではないけれど、でもひとたび日本画という枠組みを取っ払ったらたんに未熟な現代美術にすぎないのでは? 日本画の枠内で嵐を起こすのか、それとも日本画を超えてアートの先端で暴れるのか?

2012/11/17(土)(村田真)

建築の際シンポジウム「映画、建築、記憶」

会期:2012/11/17

東京大学情報学環・福武ホール地下2階 福武ラーニングシアター[東京都]

「建築の際」シンポジウムに際して、諏訪敦彦監督の『H STORY』(2001年公開)とアラン・レネの『二十四時間の情事』(1959年6月公開)を久しぶりに見る。後者は当時の広島平和記念資料館の展示の様子がわかって興味深い。前者はラストの原爆ドーム内からのショットが印象的で、『不完全なふたり』と同様、開口=フレームが多くを物語る。シンポジウムでは講師を呼んで終わりではなく、4名の学生が問題提起を行ない、2部にわたって「映画、建築、記憶」をめぐる討議を展開した。射程は3.11後に及ぶ。諏訪がすべてを決定する主体としての監督ではないことがわる。また懇親会では、奥様も制作の過程で重要な役割を果たしていたことを知る。

2012/11/17(月)(五十嵐太郎)

会田誠──天才でごめんなさい

会期:2012/11/17~2012/03/31

森美術館[東京都]

会田は自分の立ち位置を正確に把握し、その位置から期待どおりの鬼畜作品を供給し続けることができる希有なアーティストだ。そこが彼の天才たるゆえんだろう。実は「期待どおり」というのはきわめて難しいことで、つねに期待を少し上回っていなければならない。なぜなら本当に「期待どおり」であれば、それはあらかじめ想像可能な範囲に収まってしまい、つまり「予想どおり」にすぎないからだ。したがって「期待どおり」とはつねに期待を裏切っていなければならないのだ。今回の会田の個展は約20年におよぶ画業の回顧展といっていいもので、初期の《あぜ道》から《紐育空爆之図(戦争画RETURNS)》《スペース・ウンコ》《ジューサーミキサー》《滝の絵》《灰色の山》まで、出品作品の大半は見覚えのあるものばかり。その意味では(残念ながら)期待どおりによかった。初めて見る最新作《ジャンブル・オブ・100フラワーズ》も期待を裏切らない大作だし、「18禁部屋」もしつこいけど期待どおり。観客を裏切ってくれないのだ。ところで展覧会の可否はただの作品総体で決まるわけではなく、作品相互の相乗効果(ときに相殺効果)や開催時期、美術館や観客との相性などによっても左右されるはず。しかしここでも会田展は踏み外すことなく、妙な言い方だが予想以上に期待どおりだった。とくに森美術館とは相性がいいのか悪いのか、あらゆる作品が「作品然」として収まってしまっていた。かつての映画のタイトルをもじれば、この展覧会は会田以上でも以下でもない「=(イコール)会田誠」といえる。観客も会田自身も、それで満足するかしないかだ。

2012/11/19(月)(村田真)

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