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2014年02月15日号のレビュー/プレビュー

1930年代美術館

[フランス・パリ]

《1930年代美術館》は、その名称のとおり、《サヴォア邸》が生まれたのと同時代にあたる1930年代をテーマとし、美術、建築、デザインなどを横断的に展示する施設である。アール・デコや植民地芸術などのテーマも含む。ちなみに、このまわりには、市庁舎、郵便局、警察など、モダニズムがよく残る。特にトニー・ガルニエの手がけた庁舎は、保存状態も素晴らしく、ダイナミックかつ透明感あふれる内部空間の吹抜けが素晴らしい。

2014/01/02(木)(五十嵐太郎)

2014年の初詣でる展

会期:2014/01/01~2014/01/07

黄金町八番館[神奈川県]

大晦日の夜からコタツを囲んでオープニングパーティーをしたという、おとそ気分の新春展。出品は、切れ目のあるおっぱいばかり並べた椎橋良太、階段の上に金属製の巨大ギロチン(ハリボテ)を設置した杉山孝貴、紙に荒っぽく顔を描きつけた加藤笑平と斎藤昌威、風景を描いた3面パネルをコの字型に立てた吉本伊織ら。どこか時代に乗り遅れた観のあるパッとしない作品たちだけど、流行なんぞに背を向けてマイペースで自分の信じることをやってるところに好感がもてる。みんな少し病んでるし、悩んでる。それが制作のモチベーションになっている。

2014/01/03(金)(村田真)

ベルシー・ヴィラージュ

[フランス・パリ]

ワインの倉庫街をリノベーションしたベルシー・ヴィラージュを歩く。小さくてかわいらしい昔のスケール感と現代的な感覚を巧く接合した空間である。このエリアは、大蔵省、スポーツパレス、フランク・O・ゲーリーの建築、国会図書館、ボーヴォワール橋と、段階的に新しいものができるたびに訪れてきた。やはり、一度に開発して終わりという焼き畑農業的な手法ではなく、時間をかけた重層的な接ぎ木がパリという都市の力だろう。

写真:上から、ベルシー・ヴィラージュの街並み、大蔵省、スポーツパレス、フランク・O・ゲーリー《アメリカン・センター(現 シネマテーク・フランセーズ)、図書館とボーヴォワール橋

2014/01/03(金)(五十嵐太郎)

レ・アル再開発

[フランス・パリ]

レ・アルの再開発も進んでいた。市民にその内容を知らせるインフォメーション・センターも設置されている。新しい施設は、古い商品取引所とポンピドゥー・センターの軸を意識したデザインだ。拙著『美しい都市・醜い都市』でも触れたが、景観論者が大好きなパリは、オースマンのときに整備した19世紀の統一された街並みの部分だけに集中しているが、むしろ過去から未来をつなぐ都市像こそが本当にすごいと思う。

2014/01/03(金)(五十嵐太郎)

ポンピドゥー・センター

[フランス・パリ]

ポンピドゥー・センターへ。あまり知られていないが、コンペのなかで広場の面積を最も大きくとったのが、実現したピアノ+ロジャース案だった。開催中のシュルレアリスム展では、基本的な歴史展示に加え、現代のアーティストであるポール・マッカーシーやシンディ・シャーマンの作品を混ぜる。またコレクション展示における戦後日本建築の部屋には、丹下健三やメタボリズムの作品と一緒に、具体美術の白髪一雄が入っていた。

2014/01/03(金)(五十嵐太郎)

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