artscapeレビュー

2015年04月01日号のレビュー/プレビュー

プレビュー:マームとジプシー『ヒダリメノヒダ』

会期:2015/04/03~2015/04/12

神奈川芸術劇場KAAT 大スタジオ[神奈川県]

先月、先々月の公演ラッシュから考えるとずいぶん「凪」な状態で、推薦したくなる公演はさほど多くないのですが、見逃せないのはこの1本。2月に『カタチノチガウ』で新作上演を行なった藤田貴大(マームとジプシー)が早くも新作を発表します。本作『ヒダリメノヒダ』は、藤田自身が幼少期に陥った視力の極端な低下がテーマになっている作品とのこと。物語性の高い藤田の戯曲で実体験が参照されているのは、珍しいのでは。実体験に基づいた考察が、どこまでそこに反映されることになるのかに期待したくなります。また「マームとジプシーとして、かなり挑戦的な作品になることでしょう」とも、フライヤーには書かれています。マームとジプシーのテイストは、もうかなりの程度、世に浸透していきています。その文学的な感触を味わいたくて足を運ぶファンも多いことでしょう。「挑戦的」とは、そのファンも裏切るようななにか突拍子もないことであるのか、否か。そのあたりに、興味があります。

2015/04/01(水)(木村覚)

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