artscapeレビュー

2009年03月15日号のレビュー/プレビュー

戦争と芸術III─美の恐怖と幻影─展

会期:2009.1.16~2009.2.5

京都造形芸術大学ギャルリ・オーブ[京都府]

阪急大山崎から河原町に出て京阪に乗り換え、終点の出町柳からタクシーで京都造形へ。なかなか不便だ。飯田高誉渾身の企画「戦争と芸術」展も、3回目にして初めて見る。しかも最終日。今回は防衛省防衛研究所から借用許可を得た藤田嗣治《重爆》をはじめ、横尾忠則、宮島達男、古井智、山口晃、佐々木加奈子、大庭大介の出品。藤田作品は借用の努力と情熱は認めるが、正直いって肩透かし。逆に、この程度の(といってしまう)作品でも簡単に借りられないところに、いまだ日本の「戦争と芸術」の問題があるのでは。もうひとつ、藤田以外の作品を、展覧会名を伏せて見せたとき、はたして何人が「戦争」という主題に気づくだろうか。いいかえれば、戦争という主題に慣れない日本のアーティストを、われわれは誇るべきか、恥じるべきか。

2009/02/05(木)(村田真)

濱野裕理──eyes open

会期:2009.2.3~2009.2.8

ギャラリーはねうさぎ[京都府]

アクリル絵の具やボールペン、切り抜いた雑誌のコラージュで構成した平面作品。夕暮れ時のジャングルジムで遊ぶ子どもたち、湖のそばにたたずむ黒いワンピースの女性、電柱と車道の風景のなかを歩くシカなど、いつか夢で見た光景のような既視感を喚起する作品だ。構図のせいもあるのか、寂しげな雰囲気が漂い、どれもどこか不安定な印象だが、その分もう一度振り返りたくなるような印象を残す魅力があった。

2009/02/08(日)(酒井千穂)

第37回京都嵯峨芸術大学制作展

会期:2009.2.4~2009.2.8

京都市美術館[京都府]

嵯峨芸術大学の卒業制作展。先に見た濱野裕理の作品もあった。《この小さな世界で夏の終わりをもう一度見てみたい》というタイトルの一対の作品。風景のなかにぽつんと人物や動物を描いた作品はよくあるけれど、思い出せそうで思い出せない記憶のような、ぼんやりとしたイメージにやはり気持ちを引き摺られ、気になる。今後の活動も期待したい。この卒展会場で特にじっくりと見たのは、造形学科日本画古画研究工房の制作作品。嵯峨芸術大学にそんな学科があることも知らなかったが、岡田小百合の牧谿の《白衣観音図》(大徳寺蔵/水墨)の模写には目を見張るものがあった。保存修復などに関する学科は他の大学にもあるが、嵯峨芸術大学のこのコースの場合は調査研究レポートなどからも努力に裏打ちされた成果がうかがえて頼もしい。

2009/02/08(日)(酒井千穂)

中尾めぐみ「どこか」

会期:2009.2.3~2009.2.8

アートスペース虹[京都府]

記憶の中の風景のイメージを描いた作品は、何枚も重ねた薄いカーテンごしに見る景色のように朧げで曖昧。確認したくてもはっきりと見えない光景が淡い色彩で描かれている。ガラス張りのギャラリー空間での展示がよく似合っていて、射し込む光の加減で塗り重ねられた色が豊かに変化する美しい作品だ。

2009/02/08(日)(酒井千穂)

文化庁メディア芸術祭

会期:2009.2.4~2009.2.15

国立新美術館[東京都]

混んでる。テレビで放映された直後だし、建国記念日でお休みだし、しかもタダ。会場をぐるっとまわって、黒山以外ほとんどなにも見ずに出た。
文化庁メディア芸術祭:http://plaza.bunka.go.jp/

2009/02/11(水)(村田真)

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