2018年06月15日号
次回7月2日更新予定

artscapeレビュー

田中信太郎、岡崎乾二郎、中原浩大「かたちの発語」

2014年05月15日号

会期:2014/04/25~2014/06/22

BankARTスタジオNYK[神奈川県]

1940年生まれの田中、55年生まれの岡崎、61年生まれの中原という少しずつ世代の異なる3人の展覧会。3人展といってもひとりほぼ1フロアずつ使い、大作をドーンと置いたりしているので、三つの大個展といってもいい。カタログもひとり1冊ずつつくってるし。でも三つの個展だけど、それぞれ世代やスタイルを超えて共通するものも見えてくる。それはひとことでいえば、作品の得体の知れなさ、わかりにくさだ。とりわけわかりやすい(わかりやすすぎる)作品ばかりがはびこり、もてはやされる現代にあって、この不躾ともいえるくらいの晦渋さは懐かしさを覚えるほど貴重だ。このわかりにくさはおそらく、70-80年代に訪れたモダニズムの終焉を見届け、その荒野から(再)出発せざるをえなかった彼らの悪戦苦闘ぶりに由来するかもしれない。つまり、いったんリセットされてゼロに等しい地点に立ったときになにができるか、なにから始めればいいのかという問題。それを同展は「かたちの発語」というタイトルに込めている。赤ちゃんが生まれて初めて意味不明の音声を発語するように、彼らの「かたち」も意味が生まれる以前の限りなくゼロに近いところから発せられてるのではないかと。このような不穏ともいえる作品体験はここ20年ほど久しくなかったなあ。これは美術館級の、いや、いまどきの美術館ではとうていやれない、おそらくBankARTでしか実現できない壮挙というべきだ。

2014/04/25(金)(村田真)

artscapeレビュー /relation/e_00025821.json l 10099163

2014年05月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ