artscapeレビュー

黒崎香織「SOMETHING TO SEE」

2011年10月15日号

会期:2011/09/01~2011/09/28

INAXギャラリー2[東京都]

へらへらの半紙を縦横2メートル前後につないだ大きな画面に、クレパスでガシガシ描いている。まずその脆弱な物質感とは裏腹のずっしりしたマチエールが特異だ。描かれているのは、食卓の風景をおおい尽くさんばかりの蛾の図であったり、教室内の風景の真ん中に窓の外の風景を鎮座させていたり。モチーフもかなり特異だ。なぜ蛾なのかといえば「とても怖かった」から。「あまりに怖すぎるので克服しようと」思って描くようになったんだそうだ。「好きだから描きました」みたいなどうでもいい絵がはびこる昨今、黒崎の絵のもつインパクトは貴重だ。

2011/09/02(金)(村田真)

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