artscapeレビュー
トリコ・Aプロデュース演劇公演2011 『和知の収穫祭』
2011年10月15日号
会期:2011/09/24~2011/09/25
京丹波町下粟野観音堂[京都府]
これまで京都市内を活動の拠点に演劇のプロデュースや上演を行なってきた、演劇集団トリコ・A。和知の伝統芸能、和知人形浄瑠璃の演目・長老越節義ノ誉(ちょうろうごえせつぎのほまれ)をモチーフにした作品が、室町時代建立とされる和知町の明隆寺観音堂で上演された。この作品はトリコAの演出家であり、劇作家でもある山口茜が、和知に滞在しながら制作したもの。当日、あたりも暗くなった頃、本殿の前でハットを被った役者の「誰そ彼」という言葉の説明から始まったその劇には、地元の子どもたちも10人以上出演していた。和知町は町のほとんどが山林で会場の周辺にはなにもない。過疎化が進む限界集落でもあるのだが、当日の会場はほぼ満員。予約客ばかりでなく、当日になって町の人々がたくさん鑑賞に来ていたと聞いた。演劇の内容は、私には理解しきれず消化不良な部分もあったが、観音堂の神秘的な雰囲気が素晴らしかった。今後も和知での活動展開を考えているというトリコ・Aプロデュースに注目したい。
2011/09/24(土)(酒井千穂)