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世界遺産 ヴェネツィア展──魅惑の芸術・千年の都

2011年10月15日号

会期:2011/09/23~2011/12/11

江戸東京博物館[東京都]

なぜいまヴェネツィア展なのか。今年はヴェネツィア・ビエンナーレの開かれる年だから、ってわけではない。ビエンナーレは2年に一度開かれるんだもん。考えられるのは、ヴェネツィアも日本もいま水没の危機に直面しているということだ。しかしそんな理由で来るかね。ともあれヴェネツィア。考えてみれば、ぼくがいちばんたくさん行った海外の都市は、パリでもロンドンでもニューヨークでもなく、ヴェネツィアなのだ。もちろんビエンナーレを見に行くためだが、何度か行くうちにビエンナーレの取材より、むしろヴェネツィアという街を再訪すること自体が楽しみになってきた。そして、行けば行くほどこの街は奥深い表情を見せてくれるのだ。こうして人はヴェネツィアと恋に落ちていくのかもしれない。なーんてね。展覧会はヴェネツィアの歴史と文化を紹介するのが目的なので、ガラスをはじめとする工芸品、衣装、家具、写本などもけっこう出ている。絵画は、ヴェネツィアを代表する画家ティツィアーノが1点もないのが残念だが、ベッリーニ兄弟、カルパッチョ、ティントレット、カナレットらはある。とりわけ仮面舞踏会などヴェネツィアの風俗を描いた18世紀の画家、ピエトロ・ロンギの作品を見られたのがうれしい。

2011/09/22(木)(村田真)

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