artscapeレビュー
棚田康司 展「◯と?」(らせんとえんてい)
2011年10月15日号
会期:2011/09/22~2011/10/14
スパイラルガーデン[東京都]
スパイラルガーデンの巨大な吹き抜け空間に、2組4体の彫刻が置かれている。奥が「風神雷神」にヒントを得た《風の少年》と《導雷少女》で、手前が《ナギ》と《ナミ》。いずれも一木づくりで表面が彩色され、台座部分は木のかたまりのままだ。奇妙なのは《ナギ》と《ナミ》の展示で、両者が向かい合うように横倒しになっているのだ。この2体、巨木を縦に割ってそれぞれに彫っているのだが、台座の大きさに比べて人物像が細くて小さいため、横倒しにすると身体部分が宙に突き出したかたちになる。つまり作品の前に立つと、両側から《ナギ》と《ナミ》の頭がニューと出ていて、まるで「風神雷神」を守る遮断機のようなかっこうになっている。しかもこの2体、身体が微妙にねじ曲がっているため波形に見える。いや波形というより螺旋を描いているというべきか。スパイラルの語源になった螺旋状の吹き抜け空間に置かれた、ゆるやかに螺旋を描く1組の人体彫刻。空間を深く読みとったインスタレーションといえる。
2011/09/22(木)(村田真)