artscapeレビュー
「宮澤賢治/夢の島から」(飴屋法水『じめん』、ロメオ・カステルッチ『わたくしという現象』)
2011年10月15日号
会期:2011/09/16~2011/09/17
都立夢の島公園多目的コロシアム[東京都]
舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー」のオープニングを飾る、飴屋法水構成・演出『じめん』と、ロメオ・カステルッチ構成・演出『わたくしという現象』のダブル公演。『じめん』では、クレーター状のコロシアムの盆地中央に白い椅子が数百席ほど並び、一番前の席に少年がひとりぽつんと座っている。やがて少年の座った椅子を残して椅子たちがゴトゴトと後退し始める。まるで生き物のようにうごめく、というより、津波に押し流されるガレキのようにといったほうが適切かもしれない。ここがいちばん心を動かされる場面だ。『わたくしという現象』は、『猿の惑星』のサルや『2001年宇宙の旅』のモノリスが出現したり、放射能研究やラジウムの発見で知られるマリー・キュリーが登場したり、飴屋が出て来てロメオと対話したり、めくるめく展開を見せる。最後に、日本の地形が消えた極東の地図が登場し、日本そのものが「夢の島」だったというオチ。「夢の島」で行なわれたサイトスペシフィックな野外公演でした。
2011/09/16(金)(村田真)