artscapeレビュー
寺内曜子 展
2011年10月15日号
会期:2011/08/29~2011/09/10
表参道画廊[東京都]
ギャラリーの壁のところどころに、さまざまなかたちに切り抜いたストライプ模様の布が貼ってある。はて、なんのかたちだろう? 国か都道府県か、どこか島の輪郭かとも思ったけど、該当する地形が思いつかないし、貼ってある場所にもかたちにも規則性があるわけでもない。いちどギャラリーの入口に戻ると、そのガラス面に同じストライプ模様の大きな布が貼ってあり、ところどころ穴があいていた。この大きな布をぐしゃぐしゃに丸めて一部をハサミで切り取り、その断片を壁に貼っていたのだ。ああ、やっぱり寺内曜子だ、と納得。彼女の作品を初めて見たのは30年近く前、ロンドンのギャラリーでだ。その後、かんらん舎といういまでは伝説的なギャラリーでも発表していたが、今回はおよそ20年ぶりの再見。基本コンセプトが当時とまったくといっていいほど変わっていなかったのがうれしい。このチャラいポストモダンの時代気分のなかで、揺らぐことなく一貫したコンセプトで制作を続けることの困難さを思う。
2011/09/10(土)(村田真)