artscapeレビュー
ふなだかよ展
2012年01月15日号
会期:2011/12/05~2011/12/10
O Gallery eyes[大阪府]
出品作品は絵画と写真に大別される。絵画は作者の幼少時の写真をモチーフにしたもので、母の愛を一身に受ける幸福感に満ちている。一方、写真は料理が器から溢れ返った状態を写しており、グロテスクな趣が強い。作者はこれら2種類の作品を並置することにより、共依存の母子関係と、偏愛が人間形成に与える影響について表現しているのだ。ただしネガティブ一辺倒ではない。偏愛もまた人間の根源にあるものだという思いを、ほかならぬ彼女自身が持っているからだ。彼女の作品は矛盾する両義性を持つが、それゆえ絶望から救われているのかもしれない。
2011/12/05(月)(小吹隆文)