artscapeレビュー
トーキョー・ストーリー2013 第1章「今、此処」
2013年05月15日号
会期:2013/03/09~2013/04/29
トーキョーワンダーサイト本郷[東京都]
2012年度のTWSのクリエーター・イン・レジデンスに参加したオル太、二藤建人、潘逸舟という3組のアーティストによる成果発表展。オル太は相変わらずプリミティヴでダイナミックなパワーにあふれている。《大地の消化不良》というインスタレーションは、「歯並び」で囲った領域に塩を敷きつめ、水を噴き出す便器や、真っ二つに切った牛(ハリボテ)や、フジツボにおおわれた「貝爺」などを配したもの。便器はデュシャン、真っ二つの牛はデミアン・ハーストを連想させる。第1次産業的労働から一歩アートに近づいたけど、妙に洗練されることもなくワケのわからないパワーが健在でなによりだ。潘は2本の映像作品。ひとつは、岩山のような大きな石がわずかに動くという映像で、これは自分と同じ重さの石を身体の上にのせて撮ったという。もうひとつはその石を船にのせて撮ったもので、これは石は動かず、背景の海がゆっくり動く。思索的なモノクローム映像だが、こういうのは70年代にさんざん見た。二藤は直径5メートルほどの巨大な器を出品。その内側には手足の凸型が浮き上がってちょっとグロだが、凸型ということは砂か泥の山に手足を突っ込んでその上から石膏をかぶせて型どったものだろう。こいつもオル太に劣らずダイナミックだが、二藤のほうがより彫刻原理に肉薄している点でアート濃度が高い。
2013/04/03(水)(村田真)