artscapeレビュー
Chim↑Pom「PAVILION」
2013年05月15日号
会期:2013/03/30~2013/07/28
岡本太郎記念館[東京都]
2年前、渋谷駅に設置された岡本太郎の壁画《明日の神話》に福島原発事故の絵を付け足し、ひと騒動おこしたChim↑Pom。それが縁で今回、岡本太郎記念館で太郎との対決=コラボレーションとなった。しかしChim↑Pomは大先輩の太郎も敏子も見たことがない。そこで彼らの家だった記念館と太郎の墓を往復し、生と死を接続して福島原発につなげようと考えた。展覧会名にもなっている《パヴィリオン》は、記念館の一室をホワイトキューブに変え、奥のガラスケース内に直径4センチほどの太郎の骨片を展示するというインスタレーション。いかにも仰々しい。僕が「パヴィリオン」という言葉を初めて知ったのは、忘れもしない1970年の万博のとき。その万博のパヴィリオン内でもっとも仰々しく展示されていたのがアメリカ館の「月の石」だ。そういえば太郎が死んだ日に大きな彗星が墜ちたことも思い出した。万博、宇宙、太郎の死とつながっていく。それにしてもこの仰々しさはChim↑Pomらしくないなあ。らしさでいえば、手前の黒い部屋で見せていた《ゴミの墓》という映像インスタレーションのほうだ。これは夜中に太郎の墓場に忍び込み、穴を掘ってゴミを埋め上に墓碑を置いてくるという映像と、黒御影石をゴミ袋の形に彫った墓碑からなる作品で、いかにもChim↑Pomらしい。もっともChim↑PomらしいことばっかりやってるのもChim↑Pomらしくないが。ところで、例の福島原発事故の絵《LEVEL7feat『明日の神話』》は1階奥の太郎のアトリエのイーゼル上に飾られているが、どうやら隣で見ていた人はそれを太郎の絵だと思ったらしい。たしかに太郎の絵に似せて描いてあるし、それもありかな。
2013/04/20(土)(村田真)