artscapeレビュー

《久慈市文化会館アンバーホール》《田野畑中学校・寄宿舎》ほか

2013年05月15日号

[岩手県]

4日間かけて、八戸から南下し、福島までを縦断。透明な円錐形のヴォリュームによってアブストラクト・シンボリズムを表現した黒川紀章の久慈市文化会館アンバーホールや野田を経由し、東日本大震災の津波を防いだことで有名になった普代村の巨大防潮堤を訪れた。田老地区のスーパー堤防に比べて、長さは全然ないが、確かにすさまじい高さである。上に登って見渡すと、空っぽになったダムの中の村というべき風景だ。田野畑村では、穂積研究室や古谷誠章らによる質の高い建築群を見る。中学校の寄宿舎は傑作だ。一方、建て替えになった中学校は、残念ながら道の駅スタイルに変わっている。続いて、田老、宮古、山田町、大槌を久しぶりに訪れる。あれだけあった瓦礫は消えた。が、前に瓦礫の街を見ていなければ、果たしてそのことを想像できただろうか。

写真:左上=黒川紀章《アンバーホール 久慈市文化会館》、右上=普代村、左下=早稲田大学穂積研究室+古谷誠章《田野畑民俗資料館》、右下=穂積信夫《田野畑中学校・寄宿舎》

2013/04/27(土)(五十嵐太郎)

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